【じっくり読むと4分】

おすすめの村上春樹作品を短編と長編に分けて7つ紹介します。短編は短くも濃厚な世界観である「納屋を焼く」「かえるくん東京を救う」など。長編は「1Q84」「ノルウェイの森」などの有名作や村上春樹の原点ともいえる「風の歌を聴け」など、おすすめの村上春樹作品をポイント絞って紹介します。




村上春樹とは

1949年1月12日生まれ。京都に生まれ、父の仕事のため兵庫県に移り住みます。1979年に『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。1987年に発売された、『ノルウェイの森』で小説としては異例となる1000万部を超えるベストセラーとなり、小説家として多くの人に知られるようになりました。

主な有名作品は『ねじまき島クロニクル』、『1Q84』、『騎士団長殺し』などがあります。村上春樹の作品は芸術的な側面に重きをおいており、「純文学」としての要素が色濃く出ています。

そのため、読みやすい文章ではあるものの、作品の内容は難解であることが多いのも特徴的。怪奇的な世界観をもった物語を描くことが多いのも村上春樹を特徴づける要素です。

翻訳家としても積極的に活動を行っており、主にアメリカ文学の新訳を行っています。翻訳した作品は『キャッチャー・イン・ザ・フライ』『さようなら愛しい人』『プレイバック』などがあります。

ジャズ喫茶を経営していた経験があり、大学時代の1974年から1981年まで経営。ジャズバーとして生演奏も行っていました。その後、小説家を専業とするため友人にお店を譲っています。音楽にも精通しており、その教養が小説にも表れています。

【短編】村上春樹作品おすすめ7選

納屋を焼く

納屋を焼くのおすすめポイント3つ

  • 村上春樹を特徴づける作品
  • 多様な考察を楽しむことができる。
  • ミステリアスな雰囲気

納屋を焼くのレビューと評価

「納屋を焼く」はいったい何を指すのか
短編集『螢・納屋を焼く・その他の短編』に収められている本作品では、物語が進む中で「納屋を焼く」という表現が何度も出てきます。しかし、「納屋を焼く」ということの明確な答えはでてきません。

そして、物語は読者に謎を問いかけたまま終わりを迎えます。そのため、現在でもファンの間では「納屋を焼く」ということがどういうことなのかが、議論されています。「納屋を焼く」ということばの受け止め方で印象が大きく変わる物語。

納屋を焼くはこんな人におすすめ!

ミステリアスな内容を考察したい人におすすめ。

踊る小人

踊る小人のおすすめポイント3つ

  • 短いので短時間で読むことができる。
  • 徐々に不気味で怖くなってくる雰囲気
  • 村上春樹作品の中でも分かりやすい内容

踊る小人のレビューと評価

ホラーテイストな世界観
短編集『螢・納屋を焼く・その他の短編』に収められている踊る小人では、主人公が夢の中でとても踊りが上手な小人に出会います。不思議な魅力を持つ小人に興味を抱く主人公でしたが、次第に小人は恐怖をもたらす存在になっていきます。

踊る小人は童話や詩的な表現が多く、少し可愛らしささえ感じるような物語です。しかし、物語が進むにつれて不気味な雰囲気に包まれていき、不条理な世界観を味わうことができる作品。

短い内容なので読みやすいのもおすすめポイントの1つです。

踊る小人はこんな人におすすめ

不気味な雰囲気を味わいたい人におすすめ。

蜂蜜パイ

蜂蜜パイのおすすめポイント3つ

  • 「阪神淡路大震災」を題材にした短編
  • 徐々に不気味で怖くなってくる雰囲気
  • ウェットに富んだ会話

蜂蜜パイのレビューと評価

大震災を間接的に体験した人々の物語

『神の子どもたちはみな踊る』は阪神淡路大震災に間接的に関わった人々たちを描いており、蜂蜜パイはその中に収録されている短編です。

蜂蜜パイは大学時代から縁を持つ、男女3人の三角関数を描いた物語です。現実に起きた出来事を題材にしているため、主人公たちの生活風景や会話がリアルに描かれています。

蜂蜜パイはこんな人におすすめ!

現実に起きた出来事を題材にした物語がみたい。

ハナレイベイ

ハナレイベイのおすすめポイント3つ

  • 美しい風景描写
  • 村上春樹作品の中でも分かりやすい内容
  • 卓越した日常的な風景描写

ハナレイベイのレビューと評価

死と再生の物語
短編集『東京奇譚集』に収められているハナレイベイは、ハワイを舞台に不慮の事故で息子を亡くしてしまった「サチ」がとある人物と出会ったことによって再生していく物語です。

主人公「サチ」が持つ喪失感、そして現実を受け入れ少しづつ再生していく様子が美しい風景描写とともに描かれています。淡々とした日常にこそ美しさがあると感じられる内容。ハナレイベイは2018年に吉田羊が主演で映画化も行われています。

ハナレイベイはこんな人におすすめ!

美しい情景や落ち着いた物語を楽しみたい人

かえるくん東京を救う

かえるくん東京を救うのおすすめポイント3つ

  • コメディタッチな内容
  • 不思議でなんだか切ない世界観
  • 愛らしいキャラクター「かえるくん」の存在

かえるくん東京を救うのレビューと評価

哲学的な「かえるくん」

短編集『神の子どもたちはみな踊る』に収められている本作品の物語は、主人公「片桐」の部屋に突然と巨大な蛙が現れたことから始まります。

「かえるくん」はその愛らしい名前とは裏腹に、論理的な考え方をもっており、「東京安全信用金庫新宿支店融資管理課の係長補佐」というセリフや「暗喩」「脱構築」といった小難しい専門用語が次々と彼の口から発せられます。

「かえるくん」の見た目とセリフのギャップがおもしろ可笑しく、シュールな笑いを誘います。村上春樹作品の中の人気キャラクターの1人といっていいでしょう。最終的には人間のもつ「想像力とはなにか」という哲学的な問いかけを読み手に提示する内容になっています。

かえるくん東京を救うはこんな人におすすめ!

コメディタッチな村上春樹の世界を味わいたい日におすすめ。

パン屋再襲撃

パン屋再襲撃のおすすめポイント3つ

  • ユーモアな夫婦の会話
  • シュールでコメディタッチな物語
  • 短編の中でも評価の高い作品

パン屋再襲撃のレビューと評価

もう1度、パン屋を襲うのよ!

新婚夫婦がマクドナルドを襲撃するというシュールでコミカルな内容。お金がないわけでもなく、これといった必要性を感じられない夫婦がなぜマクドナルドを襲撃するのでしょうか。

不条理な世界観を楽しむことができる、村上春樹ならではの作品。フフッと笑ってしまうような夫婦のシュールでユニークな会話もおすすめポイントの1つ。

パン屋再襲撃はこんな人におすすめ!

シュールでコミカルな物語を見たい人

午後の最後の芝生

午後の最後の芝生のおすすめポイント3つ

  • 鮮やかで暑苦しい夏の情景
  • 主人公のもつ「喪失感」の描き方
  • ありふれた日常で描かれる生と死

午後の最後の芝生のレビューと評価

ひと夏の物語

短編集『中国行きのスロウ・ボート』に収められている本作品は、学生最後の夏に芝刈りのバイトを行う「僕」のひと夏の物語です。

恋人にふられてしまい傷心した主人公「僕」の心境、そして暑苦しくも鮮やかな夏の情景を描いており、だれでも1度は体験するような夏の出来事を思い出させるような内容です。

午後の最後の芝生はこんな人におすすめ!

暑苦しくも鮮やかな夏を感じたい人

【長編】村上春樹作品おすすめ7選

1Q84

1Q84のおすすめポイント3つ

  • 村上春樹をこれから読もうと思っている人
  • 繊細に描かれる人物描写とわかりやすい文章
  • SFやロマンス、ミステリーなどさまざまな要素が詰まっている。

1Q84のレビューと評価

この物語は私たちの生きる世界でもある

小学生時代、互いに想いを寄せていたふたりの少年と少女。しかし、ふたりはいつしか離れ離れに。それから数十年が経った1984年。ふたりは似ているようで全く違う1Q84の世界に迷い込みます。

1Q84は3部作で構成されており、徐々にふたりが交わっていく様子がミステリアスでテンポよく描かれています。物語中に起きる事件も、現実で起きているような身近な事件を模しており、非常にリアリティがあるのが特徴的。文章が非常に読みやすので、本をあまり読まない人でも読みやいのもおすすめポイントの1つ。

1Q84はこんな人におすすめ!

リアリティのあるパラレルワールド系が好きな人

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドのおすすめポイント3つ

  • ミステリアスかつスリリングな展開
  • 日常を忘れてしまうほどの濃密な世界観
  • 不可思議な物語ながらも多様な表現でわかりやすい文章

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドのレビューと評価

村上春樹の不可思議な国

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドは2つの世界の物語が交錯しながら展開していきます。1つは「ハードボイルド・ワンダーランド」と、もう1つは「世界の終わり」です。とくに関係性の見られなかった2つの世界が徐々に混じり合っていく様子をミステリアスかつスリリングな内容で描いています。

パラレルワールドを題材に描かれており、濃密にしっかりとと練られた世界観や設定を楽しむことができます。そのため、不可思議な世界観にどっぷりと浸かれるような内容になっています。ファンタジーやSF要素が強いものの、読みやすい文章で構成されているのもおすすめポイントです。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドはこんな人におすすめ!

日常を忘れて、不可思議な世界観にどっぷりと浸かりたい人

ノルウェイの森

ノルウェイの森のおすすめポイント3つ

  • 単純な恋愛小説に飽きた人
  • 恋愛で揺れ動く心を繊細に描く
  • だれでも経験した青春時代の葛藤を描く

ノルウェイの森のレビューと評価

「究極の純愛」

ノルウェイの森は37歳になった「ワタナベ」が大学生時代に起きた出来事を回想しながら物語が展開します。親友だった「キズキ」の自殺、その恋人であり精神的に病んでしまった「直子」大学生活で仲良くなった「緑」

三角関係の関わり合いの中で恋愛や性、そして生と死について触れていく物語となっています。恋愛をするなかで、ゆらゆらと揺れ動く精神的な不安定さが繊細に描かれているため、多くのひとに共感される内容です。2010年には「ワタナベ」を松山ケンイチが演じ、映画化されています。

ノルウェイの森はこんな人におすすめ!

儚げで幻想的な恋愛小説を読みたい人

海辺のカフカ

海辺のカフカのおすすめポイント3つ

  • 人と人の「繋がり」を感じられる物語
  • キャラクターの印象的なセリフ
  • 謎が少しずつ解明されていく楽しさ

海辺のカフカのレビューと評価

大人になることで失ったものを取り戻す

海辺のカフカは2つの物語で構成されています。1つめは、家出を決意した少年「田村カフカ」の物語。2つめは、猫と話すことができる老人「ナカタ」
読み始めは、謎が多くあまり意味が分かりません。

しかし、物語が進むうちにミステリー小説のように謎が少づつ解けていき「田村カフカ」と「ナカタ」の物語が1つに収束していく内容になっています。独特な価値観をもった、個性豊かな登場人物たちの印象的なセリフもおすすめポイントの1つ。

海辺のカフカはこんな人におすすめ!

個性的で印象的なキャラクターと出会いたい人におすすめ

風の歌を聴け

風の歌を聴けのおすすめポイント3つ

  • 村上春樹の原点
  • 村上春樹の人生観が反映されている
  • 淡々とした日常を愛せるようになる物語

風の歌を聴けのレビューと評価

村上春樹の原点

村上春樹の処女作。風の歌を聴けが群像新人文学賞を受賞して、小説家としてデビューすることとなります。風の歌を聴けには物語性があまりありません、淡々と話は進んでいきます。しかしながら、そんな日常が丁寧にそして繊細に描かれていきます。

そこに、不思議な魅力を感じるのは、私たちが生きている世界と似ているからかもしれません。捉えようのない毎日や不毛な日々、しかしだからこそ愛おしい。そんな、取り留めのない日常を描いた作品です。

風の歌を聴けはこんな人におすすめ!

村上春樹を読み始めた初心者の人

ねじまき鳥クロニクル

ねじまき鳥クロニクルのおすすめポイント3つ

  • 非常にボリュームのある壮大な物語
  • 逸材なストーリー展開
  • 村上春樹ならでの独特な世界観

ねじまき鳥クロニクルのレビューと評価

村上春樹ワールドへようこそ

主人公が飼っていた猫が姿を消してしまったことから、彼の周りで不可思議な事件が起き始めます。そして、奇妙な世界で起きる事件の謎に迫っていく物語。

3部構成で物語が進み、村上春樹作品の中でもかなりのボリュームがある物語。平易な文章のため読みやすいのもおすすめポイントの1つ。小さな事柄から、大きな物語に発展していくストーリーが実に魅力的な作品です。

ねじまき鳥クロニクルはこんな人におすすめ!

状況にあがらいつつも流されつつ生きていくストーリーに惹かれる人

騎士団長殺し

騎士団長殺しのおすすめポイント3つ

  • ボリュームのある長編を楽しみたい人
  • 村上春樹の過去作品を彷彿させる内容
  • 読みやすくとても分かりやすい言葉選び

騎士団長殺しのレビューと評価

村上春樹あるある

肖像画家である主人公が「騎士団長殺し」という名の画を見つけたことから、不可思議な現象に巻き込まれていく物語。

騎士団長殺しでは、過去作品を彷彿させるような内容がいくつもみられ、いわば「村上春樹作品あるある」が多くみられます。そのあるあるをどう捉えるのかによって印象も大きく変わってくるでしょう。

数年かけて丁寧に練りこまれた構成であり、長編ながらも分かりやすい言葉選びで流れるように読むことができる村上春樹ならではの作品です。

騎士団長殺しはこんな人におすすめ!

「村上春樹ワールド」が織りなす壮大な物語を楽しみたい人