推理小説のおすすめベスト15選。初心者向けから本格派まで紹介

推理小説おすすめ

推理小説の多くは、探偵や刑事を主役に立て、事件の謎解きをメインにしています。ミステリーのようにすごい仕掛けはありません。しかし、どんでん返しはあり、かつ考えること自体の楽しさを与えてくれもします。
なお新刊中心の記事のため、紹介する小説にはミステリー色の強いものがあることをご了承ください。では、さっそくおすすめ推理小説を解説してゆきます。


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推理小説のおすすめ15選

推理小説のおすすめ15選を紹介します。

1: 東野圭吾『マスカレード・ホテル』(2011)

マスカレード・ホテルのおすすめポイント3つ

  • キムタク映画化
  • マスカレード・シリーズ
  • リベンジ殺人

マスカレード・ホテルのレビューと評価

1人のなりすまし殺人鬼が潜む高級ホテル

日本を代表する小説家 東野圭吾の作品でキムタクと長澤まさみのWスター主演で映画化もされたとなれば、興味がわかないはずはありません。マスカレード・ホテルで殺人事件が起きることをつかんだ刑事が、潜入捜査のために女性ホテルクラークの下で従業員指導を受けるというのが大筋です。

さらに、そのホテルクラークが、殺人犯のターゲットになっていることが明らかになります。つまり彼女は刑事の教育係でありながら、同時に守ってもらう存在でもあるのです。これは恋愛のメタファーとも言える関係性であり、恋の行方も気になるところです。

こんな人におすすめ
美女から熱心に指導されたい男性の方に

2:原尞『それまでの明日』(2018)

それまでの明日のおすすめポイント3つ

  • ハードボイルド探偵
  • ハルキスト
  • 日本のレイモンド・チャンドラー

それまでの明日のレビューと評価

寡作な実力派作家の30周年記念作品

著者原寮は作品数が極めて少ない作家であり、30年のキャリアの中、本作『それまでの明日』をふくめて長編をたった6作しか書いていません。それだけに、この14年ぶりの新作への期待度は高まります。『それまでの明日』は探偵の沢崎を主人公にした沢崎シリーズの最新作です。

大筋は沢崎の調査対象が死亡し、かつ調査を依頼したクライアントまでもが行方不明になるというものです。推理小説の土台が崩れた先にある推理小説であり、その奇抜さに魅かれます。

そして、原寮はハードボイルド作家としても知られ、その道の巨匠レイモンド・チャンドラーのように粋なセリフまわしをします。そのためチャンドラーのファンである村上春樹のファン、いわゆるハルキストにも親しみやすい世界観だと言えます。

こんな人におすすめ
ハードボイルド探偵が挑む消えてしまった事件に魅かれる方に

3:松岡圭祐『高校事変』(2019)

高校事変のおすすめポイント3つ

  • 女子高生バトル
  • 日本社会風刺
  • ミステリー・アクション

高校事変のレビューと評価

学校は社会の縮図

2020年の新刊であり、軍事ヘリを背景にミニスカJKが暗くうつむく表紙がインパクト大の作品です。著者松岡圭祐は、映画化もされた『万能鑑定士Q』でお馴染みの人気作家です。

総理大臣が訪問した高校に武装勢力が乱入し、何の要求もないまま学校を占拠します。一方、ヒロインの女子高生はテロリストの娘であり、信じがたいサバイバルスキルの持ち主でもあります。

占拠の真相も気になりますが、日本の社会や歴史のパロディが学校バトルの中に数多く散りばめられているのがポイントです。それがときにオモシロく、ときに意義深くあります。

こんな人におすすめ
今の日本っておかしいと思っている人に

4:伊坂幸太郎『ホワイトラビット』(2017)

ホワイトラビットのおすすめポイント3つ

  • 悪人だらけのドタバタ劇
  • 誘拐ビジネス
  • 人質立てこもり

ホワイトラビットのレビューと評価

誘拐のブーメラン現象

暴力団の一員として誘拐ビジネスをしていた男が、自分の奥さんを誘拐されるという、まさに因果応報、ブーメラン現象とも言える目に合います。前半はドタバタ劇が続き、時系列も乱れて混沌とした展開になります。

しかし、後半スッキリとまとまります。前半に欠けていた大事なピースを1つずつハメこむような形で収束するのです。これほどカオスな犯罪ミステリーが成立したのは、伏線回収能力にかけては小説界NO1と言われる著者、伊坂幸太郎だからこそのことでしょう。

こんな人におすすめ
ドタバタ犯罪劇が大好きな人に

5:今村昌弘『屍人荘の殺人』(2017)

屍人荘の殺人のおすすめポイント3つ

  • ゾンビ
  • ホラー・ミステリー
  • 2020年の映画化作品

屍人荘の殺人のレビューと評価

殺人鬼が外にも内にもいる恐怖

著者、今村昌弘は本作『屍人(しびと)壮の殺人』で、高名なミステリー賞3冠を達成し、2020年には本作を原作とした神木隆之介主演の映画も公開されます。推理ミステリーではクローズド・サークルと呼ばれる閉鎖環境がよく用いられます。孤島の屋敷や別荘の密室などに殺人鬼が潜むという設定であり、本作ではペンションが舞台になります。

しかし、バイオテロでゾンビが大量発生したことからペンションの外にも殺人鬼があふれることとなり、登場人物たちは外と内の両方に敵を作ることになります。しかも、主役であるはずの名探偵は早々にゾンビに殺されています。果たしてそんな絶望的な状況で生き残れるのか、大いに気になります。

こんな人におすすめ
絶体絶命の状況に身をおきたい人に

6:長江俊和『出版禁止』(2014)

出版禁止のおすすめポイント3つ

  • 男女の心中
  • 実話ドキュメンタリー形式
  • 魔性の女

出版禁止のレビューと評価

ファムファタールの恐怖

小説や映画にはファムファタールと呼ばれる男を破滅させる魔性の女が存在します。本作『出版禁止』ではそんなファムファタールと男が心中事件を起こし、女だけが生き残ります。犠牲者はドキュメンタリー作家であり、その心中事件を取材に行ったライターまでその魔性の女に惹きつけられてゆきます。

まさにミイラとりがミイラになるという展開です。心中の裏側には驚くべき真相が隠されています。また、著者の長江俊和自身が、取材ライターの原稿を受け取るというメタフィクション構成、現実に見せかける物語手法も目を引きます。

こんな人におすすめ
魔性の女に引きずり込まれたい方に

7:若竹七海『錆びた滑車』(2018)

錆びた滑車のおすすめポイント3つ

  • 女性探偵シリーズ
  • 記憶喪失
  • 過去の探求

錆びた滑車のレビューと評価

女探偵が暴く完全に消された過去

芸能人のファンも多い若竹七海による探偵、葉村晶シリーズの最新長編です。女性探偵というのが目を引き、さらにツキがなさすぎることでより親しみやすいキャラになっています。

交通事故にあって父と記憶を失った男が、探偵に自身の過去について調査を依頼します。しかし、まもなくその男と祖母も火事で不審死し、ミステリーは迷宮化します。

クライアントと事件そのものが消えるというのは現代推理ミステリーの常とう法の1つですが、何度読んでも読み応えがあるのも事実です。女性探偵が完全に消された過去を甦らせることができるのか、とても気になります。

こんな人におすすめ
消された過去に好奇心がわく人に

8:東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』(2017)

僕が殺した人と僕を殺した人のおすすめポイント3つ

  • 青春ミステリー
  • 台湾の猥雑な雰囲気
  • 悲しい現実とのギャップ

僕が殺した人と僕を殺した人のレビューと評価

海を渡ったサイコパス

直木賞作家でもある著者、東山彰良は台湾と日本で青春期を送った経歴があります。本作『僕が殺した人と僕を殺した人』では、そんな著者ならではのグローバルで壮大な世界観が描かれています。

アメリカでつかまった連続殺人鬼、通称サックマンの弁護士を務める男は、彼の幼なじみでもあります。台湾育ちの仲良し3人組の少年は、ある殺人事件をきっかけに、三者三様の人生を送ることになります。

スティーブン・キングの名作小説『スタンド・バイ・ミー』にも似た少年時代のノスタルジックな回顧録という体裁の中、ミステリーとリアルな社会性をみごとにブレンドさせた作品です。

こんな人におすすめ
少年たちのノスタルジーに浸りたい方に

9:松本清張『砂の器』

砂の器のおすすめポイント3つ

  • 過去を変えた男
  • あらがえない宿命
  • 松本清張の最高傑作

砂の器のレビューと評価

りれきという宿命の抗えない波

著者、松本清張は2020年が近づく今も、多くの原作がTVドラマ化されておりまさに時代を超えた大作家だと言えます。そんな清張の最高傑作と呼ばれるものが本作『砂の器』です。アイドルの中島健人主演でつい最近TVドラマ化されて、話題になった作品でもあります。

若き天才作曲家が、ある男の不意の訪問を受け、殺人を犯します。成功の真っ只中にある男がなぜ人殺しをしたのか。裏には彼がたどった壮絶な過去があり、やがて男がなりすましであることが発覚します。

原作の設定は古く共感しづらいかも知れませんが、そのエッセンスは今も輝き続けています。

こんな人におすすめ
なりすまし男の壮絶な過去と心理を知りたい人に

10:湊かなえ『贖罪』

贖罪のおすすめポイント3つ

  • 米エドガー賞にノミネート
  • イヤミス女王の真骨頂
  • 大どんでん返し

贖罪のレビューと評価

少女レイプ事件にほんろうされた少女たちの物語

『贖罪』は、アメリカのミステリー小説賞として高名な『エドガー賞』にノミネートされた作品です。湊かなえは、本作によって世界の作家の仲間入りを果たしたと言えるでしょう。

凄惨な少女レイプ事件が起こり、それを阻止できなかった友達の少女たちのその後が告白体で描かれます。事件と少女たちの人生との巧みな絡ませ方や、最後のどんでん返しはまさに達人の技です。

ただ人物の心理面や動機に共感できない点があり、湊かなえが後味の悪いイヤなミステリー、いわゆるイヤミスの女王と呼ばれるゆえんも、この辺りにあるのでしょう。それでも、ミステリーとして最高の牽引力のある作品です。

こんな人におすすめ
世界も認めたイヤミス女王の作品で、ヒリヒリしたい方に

11:東野圭吾『容疑者Xの献身』

容疑者Xの献身のおすすめポイント3つ

  • ガリレオ・シリーズ最高傑作
  • 2人の天才学者の対決
  • すばらしい隠ぺいトリック

容疑者Xの献身のレビューと評価

純粋に推理することの楽しさを伝える作品

本作『容疑者Xの献身』は東野圭吾の最高傑作として称えられることが多い作品ですが、まさにそれに値する内容だと言えます。事件の真相は最初に明らかになり、それを天才数学者がいかにして隠ぺいしたのかが問われる筋になっています。

事件について熟考することを求める推理小説の真髄とも言える小説でしょう。ポイントは、数学者が警察に対して間違った問題を解かせていることにあります。非情な結末には読者から不満がぶつけられもしましたが、それによって本作は文学的な深みに達することが出来たとも言えます。

こんな人におすすめ
天才数学者の天才的トリックに挑みたい方に

12:江戸川乱歩『江戸川乱歩傑作選』

江戸川乱歩傑作選のおすすめポイント3つ

  • 推理小説入門
  • 満島ひかりのBSドラマ
  • 本格的な推理小説

江戸川乱歩傑作選のレビューと評価

日本の推理小説の原点、ここにあり

江戸川乱歩とは、世界初の推理小説を書いたことで知られるエドガー・アラン・ポーに引っ掛けています。日本初の本格推理小説を書いた人として、まさにぴったりのペンネームです。

『江戸川乱歩傑作選』は、9編の短編集であり、乱歩の代表作も数多くふくまれています。最近、BSでも満島ひかり主演でドラマ化されたものであり、そこで放送された3編もこの短編集に収録されています。

特に『心理試験』は、頭でっかちに完全犯罪を仕組む男の可笑しさを主題にしたミステリーの一歩先をゆく独創的な作品です。推理小説の入門編としても読める時代を超えた傑作選です。

こんな人におすすめ
日本の推理小説の幕開けに興味がある方に

13:横溝正史『犬神家の一族』

犬神家の一族のおすすめポイント3つ

  • 名探偵、金田一耕介
  • 泥沼の遺産相続
  • 古典の名作推理小説

犬神家の一族のレビューと評価

水面から両脚が出た変死体には意味がある

金田一耕介は、日本のシャーロック・ホームズとも呼べる時代を超えた探偵ヒーローと言えます。その代表作が本作『犬神家の一族』であり、3度映画化されたことからも多くの人に聞き覚えがあるでしょう。

水面から両脚が突き出された変死体は今もCMやバラエティー番組でマネされることから、一度は見たことがあるものでしょう。この逆さまの変死体は見立て殺人と言って『犬神家の一族』の中で、家宝になぞらえて仕組まれたものです。

数々の見立て殺人の他には、何と言っても仮面の男の存在が恐怖をかきたてます。遺産相続をめぐる泥沼劇がベースにあり、さまざまな点でその後の日本の推理ミステリーの土台を築いた名作だと言えます。

こんな人におすすめ
水面の逆さま死体の意味を知りたい方に

14:アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』

シャーロック・ホームズの冒険のおすすめポイント3つ

  • 名探偵ホームズ
  • ホームズとワトソンのバディコンビ
  • ホームズ入門編

シャーロック・ホームズの冒険のレビューと評価

探偵小説の歴史はここから開かれた

シャーロック・ホームズの名を聞いたことがないという人は、おそらくいないでしょう。名探偵ホームズのTVドラマや映画は今も世界中で作られており、その人気に衰えはありません。

本作『シャーロック・ホームズの冒険』は12の作品を集めた短編集です。100年近く前の作品になりますが古臭くなく、ホームズの入門編として最適の作品だと言えます。天才ホームズと真面目なワトソンのコンビは、その後、多くのストーリーの中で生かされるバディコンビの元型になりました。

AmazonのKindle版では無料で読めるのも良いところ。世界の推理小説の原点を知りたい人には、ぜひ手にとって欲しい作品です。

こんな人におすすめ
ホームズのクールで知的な魅力に惹かれるという方に

15:アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』

そして誰もいなくなったのおすすめポイント3つ

  • 絶海の孤島
  • 世界で最も売れた推理ミステリー小説
  • どんでん返し

そして誰もいなくなったのレビューと評価

推理ミステリー小説の土台を作った歴史的名作

アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』は、世界中で累計発行部数1億冊以上を誇り、世界一売れた推理ミステリー小説としても有名な作品です。絶海の孤島というクローズド・サークル、犯人が殺害ターゲットの中に潜んでいる皮肉な状況といった数々の設定は、のちの推理ミステリーの歴史的な土台を築いたとも言えます。

特に、犯人の素顔が、ただ単に殺人を目的としたサイコパスだったという点が衝撃的である以上にリアルであり、これものちのミステリーに引き継がれた遺産になりました。今、読んでも充分に引き込まれる歴史的な名作です。

こんな人におすすめ
世界の推理ミステリーの原点を知りたい人に

推理小説の重要ポイントまとめ

この記事で重要なポイントは以下の3つです。

  • ここ10年の新刊推理ミステリーを紹介
  • 歴史に残る本格派の推理小説も紹介
  • 深く掘り下げた解説つき紹介文

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