【ジャンル別】伊坂幸太郎作品おすすめ人気ランキング23選

伊坂幸太郎おすすめランキング

最近ではハリウッド映画の原作にもなった「マリアビートル」で知られる伊坂幸太郎のおすすめ作品をランキングでお届けします。

作家20周年を過ぎてもなお「重力ピエロ」や「グラスホッパー」などの代表作に負けない作品を発表し続けているのがすごい所。

中学生など初心者でもスラスラ読める文章、ミステリーの伏線回収がしっかりした完成度の高さなどが特に評価されています。

他にも殺し屋シリーズの七尾など人気のキャラクターが作品の枠を超えて活躍し、井坂ワールドを作っているのも大きな魅力の1つ。

小説出版歴のある1作家の視点から、井坂の最高傑作は何?など解説も交えてジャンルごとに井坂作品をご紹介します。

宙目(ユマ)ケン
この記事を書いたライター:ツバキ

2009年に宙目(ユマ)ケンというペンネームで幻冬舎主催の『パピルス新人賞』を受賞し、翌年『カミナリラヴァー』(幻冬舎)で小説家デビューしました。
以降はキンドル出版のKDPやカクヨム・noteなどの投稿サイトで小説を発表しながら、コツコツとマイペースで書き続けております!(^^)!。


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伊坂幸太郎とは

伊坂幸太郎とは
伊坂幸太郎は1971年生まれ、千葉県出身の小説家です。宮城県在住のため、作品の舞台を仙台にすることが多々あります。

特筆すべきは、伊坂が在籍した東北大学の同期生にも、『パラサイト・イブ』で社会現象を起こした瀬名秀明や、芥川賞をとった鬼才の円城塔といった名作家がいることです。現実は小説より奇なりとも言いますが、本当に不思議な偶然です。

伊坂幸太郎作品の魅力

伊坂作品の最たる特徴はミステリーであり、何らかの目を引く謎で読者をラストまでぐいぐい引っ張っていきます。

最も評価されるポイントは、伏線の回収能力です。どれほど混沌とした展開でも最後にはスッキリ1つにまとめてくれます。

同じキャラが違う作品にも登場してリンクさせ、1つの伊坂ワールドとしてつながりをもたせているのも特徴的な点です。また、多くの小説が複数の視点からなる客観体であり、作品を多面的に作り上げています。

伊坂幸太郎作品の作風・特徴

サクサク読める作風なだけに、伊坂幸太郎は非常にハイペースで執筆する作家です。しかし、多作であると共に多様でもあります。

以下に紹介する『砂漠』『フーガはユーガ』『魔王』『チルドレン』『AX』などは、すべてまったく異なるジャンルとも言えるものです。

伊坂幸太郎作品の最高傑作は?

伊坂幸太郎の最高傑作は人それぞれ分かれるものですが、一般的には累計300万部を突破した「殺し屋シリーズ」になるでしょう。

「グラスホッパー」「マリアビートル」「AX」に加え最新作「777 トリプルセブン」も大好評で、傑作ぞろいだと言えます。

このミス大賞の「ゴールデンスランバー」を推すファンも多い一方、ドラマとして「砂漠」や「重力ピエロ」も高く評価されています。

伊坂幸太郎作品の選び方

伊坂幸太郎作品の選び方を以下の3つのポイントから解説します。

  • キャラクターを楽しみたい方は、死神など伊坂ワールドの人気者が出る作品を選ぼう
  • テンポ良く読みたい方は、「陽気なギャング・シリーズ」などのポップな作品を選ぼう
  • ドラマを味わいたい方は、ミステリー色の少ない「砂漠」のような佳作を選ぼう

キャラクターを楽しみたい方は、死神など伊坂ワールドの人気者が出る作品を選ぼう

伊坂作品の最たる特徴は、数多くのユニークすぎるキャラクターが大勢登場するところです。

中でも人気なのは死神の千葉、バンドマンの陣内、泥棒の黒澤といった面々。伊坂作品ではこのような人気キャラが作品の枠を超えてゲスト出演し、全体で1つの伊坂ワールドを作っています。

その他にも数多くのキャラ立ち人物がいるので、1人でも気に入れば、その人を軸に作品選びをすると良いでしょう。

テンポ良く読みたい方は、「陽気なギャング・シリーズ」などのポップな作品を選ぼう

小説に読みなれない初心者や中学生の方の多くは、いわゆる文芸作品のように引っかかりのある文章が苦手なはず。

伊坂作品にはそういう人たちのために、短文中心の読みやすい文体で筋もハイテンポに進んでいく小説が数多くあります。

クライムストーリーでは共に映画化もされた「陽気なギャングが地球を回す」や「ゴールデンスランバー。また「フィッシュストーリー」や「チルドレン」など、短編で一気読みできるシンプルな作品もあります。

小説をエンタメ系ソフトのように楽しみたい方は、そのような作品がおすすめです。

ドラマを味わいたい方は、ミステリー色の少ない「砂漠」のような佳作を選ぼう

小説初心者でも、映画やTVドラマでアクションよりもドラマが好きな人には、小説でも人間が丹念に描かれた作品が合うはず。

基本、エンタメ系の伊坂作品ですが、中には「砂漠」や「重力ピエロ」のような熱い人間ドラマもあります。

ミステリーやキャラ立ちといった分かりやすい魅力はありませんが、読者は人間観や世界観を揺るがす味わい深さを得られるはず。

小説を読む前と読んだ後では世界が少し違って見えるような読書体験をしたい方はドラマ重視の作品を選びましょう。

【初心者・中学生】伊坂幸太郎作品おすすめランキング6選

【6位】バイバイ、ブラックバード 単行本

14位に紹介するおすすめの伊坂幸太郎作品は、「バイバイ、ブラックバード 単行本」です。

ジャンルドラマ・連作短編集・ドラマ・コメディ
受賞歴・メディアミックス2018年、WOWOWにてTVドラマ化
発売年2010年
評価・レビュー
読みやすさ
(3.5)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(3.5)
ポイント
  • 5股をかけていたプレイボーイが、風変わりな女を連れて5人に別れを告げに行くというキャッチーな設定
  • ロープを使った侵入マニアの子がいるなど、会いに行く5人の女たちそれぞれがキャラ立ちしている
  • 別れるための条件がユニークで、バラエティ番組の罰ゲームのように楽しめる

「バイバイ、ブラックバード」の特徴

プレイボーイが5人の女の子に別れを告げに旅に出るという設定は、小説を読まない人をも魅了するものでしょう。
ただ、太宰治の遺作をベースにしており、「あのバス」など不可解な点が多く、読解力を必要とする作風でもあります。また単行本の装丁は、CDのジャケ買いのようにそれだけで欲しくなるような出来栄えです。

こんな人におすすめ
バイバイ、ブラックバードは、それぞれにユニークすぎる恋愛がつづられた連作短編を読んでみたいという方におすすめです。

【5位】ペッパーズ・ゴースト

ジャンルファンタジー・ミステリー
受賞歴・メディアミックス特になし
発売年2021年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.0)
キャラ立ち度
(4.5)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 中学教師・檀千郷には人の明日が見える「先行上映」という超能力があるなどファンタジー要素あり
  • 小説の中の物語「ネコジゴハンター」と実在の「カフェ・ダイヤモンド事件」が重なる虚実混交の魅力あり
  • ニーチェの「永劫回帰」思想に重なる哲学的なテーマもあり人生や社会について考えさせられる

「ペッパーズ・ゴースト」の特徴

伊坂幸太郎が作家キャリア20年を過ぎて新境地に挑んだと言える作品で、小説の中の小説・作中作が不思議な効果を放つドラマです。

村上春樹の「海辺のカフカ」のように虚実がじょじょに融合する本作の筋は魅力たっぷりで、最後まで引っ張られてゆきます。

こんな人におすすめ

読み返すにつれて味わい深くなる不思議な物語で、超能力などファンタジー要素もある小説をお探しの方におすすめです。

【4位】陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

1位に紹介するおすすめの伊坂幸太郎作品は、「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」です。

ジャンルクライム・サスペンス・コメディ
受賞歴・メディアミックス2006年に映画化&漫画化
発売年2003年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(5.0)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 嘘の見破り・演説マニアなど、それぞれ特殊能力を持つギャングたちが集結してミッションに挑む映画のような設定
  • 強盗マスクのギャングが黄色をバックにした文庫カバーは、ポップなハイデザインでインテリア映えもする
  • ストーリーも文体も勢いよく進む、最初から最後まで楽しめる小説

「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」の特徴

伊坂作品の中でもダントツでエンタメ色の強い「陽気なギャング・シリーズ」の一作目が本作。ハリウッド映画「オーシャンズ11」にも通じる、多くの人が飛びつきやすい設定で、筋も文体もハイテンポなので一気読みもできるでしょう。

こんな人におすすめ
陽気なギャングが地球を回すは、小説なんて難しくてつまらないから読まないよという人にこそおすすめです。

【3位】グラスホッパー (角川文庫)

11位に紹介するおすすめの伊坂幸太郎作品は、「グラスホッパー (角川文庫) 」です。

ジャンルサスペンス・コメディ
受賞歴・メディアミックス第132回直木賞候補作
2008年に漫画化
2015年に実写映画化
発売年2004
評価・レビュー
読みやすさ
(4.0)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 押し屋・自殺専門・ナイフ使いなど、さまざまな殺し屋たちが交錯するクライムストーリー
  • 読みやすいコメディ要素や、人生訓にもなる名文句も多く、読みどころが多い
  • そのストーリー性の高さから2015年・生田斗真や波瑠などの出演で映画化もされた

「グラスホッパー (角川文庫) 文庫」の特徴

伊坂幸太郎作品の一番人気シリーズとも言われる「殺し屋3部作」の1作目。
復讐したかったのに復讐を横取りされたという最初のつかみが抜群で、よくある復讐ドラマの先にある物語が期待できます。映画化されているので、先に観てから本作を読むと理解や感動が深まるかもしれません。

こんな人におすすめ
グラスホッパーは、個性あふれる殺し屋たちがおもしろおかしく絡み合うエンタメ小説を読みたい方におすすめです。

【2位】チルドレン (講談社文庫)

4位に紹介するおすすめの伊坂幸太郎作品は、「チルドレン (講談社文庫) 」です。

ジャンル連作短編ドラマ
受賞歴・メディアミックス2005年本屋大賞第5位・2006年WOWOWでTVドラマ化
発売年2004
評価・レビュー
読みやすさ
(4.5)
キャラ立ち度
(4.5)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 不良少年たちの保護に当たる家庭裁判所調査官・陣内が主役で、バンドマンでもある破天荒なキャラ
  • 陣内は唯我独尊、自分の確固たる意見を持ち、作中には胸に刺さる彼の名言が多数あり
  • 1つの話が別々の語り手、別々の時間軸で描かれた5つの連作短編で、物語に厚みがある

「チルドレン (講談社文庫) 」の特徴

キャラ立ちがすごい伊坂作品の中でも、一般的に死神の千葉と共に最も人気があるといえるのが本作の陣内でしょう。少年院に入る少年の更生に当たりながら、その一方でバンド活動もする。そんな陣内には特に10代の少年たちの多くは、彼にひきつけられるのではないでしょうか。

こんな人におすすめ
チルドレンは、いつまでも子どもの心を持ちながら、世の中をまっとうな手段で変えようとしている大人の姿を見たいという若い人たちにおすすめです。

【1位】逆ソクラテス

ジャンルドラマ・短編
受賞歴・メディアミックス2021年本屋大賞第4位・柴田錬三郎賞受賞
発売年2020年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(4.5)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 5つの短編集で主人公が小学生時代を回想する形式なので初心者にも読みやすい
  • 大人の常識・世の中のおかしなバイアスを覆す爽快感があり大人でも読み応えあり
  • 井坂作品らしく5つの短編には作品をまたいで出るキャラが複数いて後で読み返す楽しさがある

「逆ソクラテス 」の特徴

伊坂幸太郎の作家20周年を祝う本作は本屋大賞にもノミネートされた人気短編集で、大人の常識に挑む小学生が主人公。

「敵は、先入観だよ」と言い放つ表題作の安斎少年など、自らの「無知を知らない」逆ソクラテスな大人たちの世を断罪します。

こんな人におすすめ
井坂作品の中でこどもを主人公にした読みやすいもので、読後に世界の見方が変わるような小説をお探しの方におすすめです。

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【ミステリー】伊坂幸太郎作品おすすめランキング7選

【7位】アヒルと鴨のコインロッカー

ジャンルクライム・ミステリー
受賞歴・メディアミックス第25回吉川英治文学新人賞受賞作・2007年に映画化
発売年2006年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(4.0)
ポイント
  • 本屋強盗に誘うイケメンの川崎、ブータンの留学生・ドルジなど、いつもながらのキャラ立ち度
  • 伊坂作品の中でも最もサクサク読みやすいとの声が高いライトノベル系の作風
  • 過去と現在の2つの時間軸が、時空を超えて1つにまとまる斬新なストーリー展開

「アヒルと鴨のコインロッカー」の特徴

クライムストーリーながら主人公の椎名が普通の大学生なので奇想天外な話にもすんなり入ってゆけます。ゆるいタイトルにも表れているよう、とても読みやすいので中学生など小説を読まない若い人たちにピッタリです。

こんな人におすすめ
アヒルと鴨のコインロッカーは、ちょっと非日常的な大学生活にあこがれるという学生さんにおすすめです。

【6位】死神の浮力

ジャンルミステリー
受賞歴・メディアミックス死神シリーズの後編
発売年2016年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.0)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 伊坂幸太郎の「死神」シリーズ第2弾、最も伊坂ファンに愛された死神が帰ってくる
  • 娘の殺害で復讐に燃える主人公の前に、人の生死を司る死神が現れるという設定のおもしろさ
  • 復讐を超えた人間性の深みに達する文学としてのテーマ力も抜群

「死神の浮力 (文春文庫) 文庫」の特徴

娘を殺害された親の話ほど重いものはないでしょうが、そこに死神・千葉さんを軸にしたファンタジーが入り込むので読みやすくなります。殺害事件を伝えるTVニュースの先にある人間ドラマが見れるという点でも充分に読みごたえのある作品と言えるでしょう。

こんな人におすすめ
死神の浮力は、どうしても許せない人に対してどう接してゆくべきか悩んでいるような人におすすめです。

【5位】オーデュボンの祈り(新潮文庫)

ジャンル推理ミステリー
受賞歴・メディアミックス第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞
2004年にラジオドラマ化
2009年に漫画化
2011年に舞台化
発売年2000年
評価・レビュー
読みやすさ
(3.0)
キャラ立ち度
(5.0)
ストーリー性
(4.0)
ポイント
  • 2000年新潮ミステリー倶楽部賞を受賞、伊坂幸太郎の記念すべきデビュー作
  • 未来を予知する案山子(カカシ)や体重300キロの巨漢女性や地域から殺害を許された桜など、キャラ立ち度がすごい
  • 強盗を犯した主人公が、なぜか見知らぬ島を連れ去られてしまう巻き込まれ型ストーリー

「オーデュボンの祈り(新潮文庫)」の特徴

理不尽に人生を左右される主人公の伊藤をめぐる推理ミステリーです。
キャラ立ちした人ばかりが織りなすストーリー性の高いお話でもあり、ワクワクしながら読めるでしょう。ただ、デビュー作らしく文学性を重視しており、小説を読み始めの中学生にはハードルが高めかもしれません。

こんな人におすすめ
オーデュボンの祈りは、突然ファンタジーのような異世界に放り込まれる体験がしてみたいと思う方におすすめです。

 

【4位】ホワイトラビット

ジャンル推理ミステリー・サスペンス
受賞歴・メディアミックス「このミステリーがすごい・2018」2位
発売年2017年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.5)
キャラ立ち度
(4.5)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 誘拐ビジネスに手を染めた主人公の妻が誘拐されたことから始まるエンタメたっぷりのクライムストーリー
  • 井坂作品の愛されキャラ・泥棒の黒澤も登場し3人の犯罪者が1つの目的の元に協力する筋はとてもユニーク
  • 特殊捜査班SITの夏之目課長にも秘められた許されない過去があり心に余韻を残すドラマ性もあり

「ホワイトラビット」の特徴

「このミステリーがすごい」で2位を取るなどミステリーとしても評価が高い、井坂印のポップな悪人たちが活躍する人気作です。

星座の「オリオン座」と小説「レ・ミゼラブル」がストーリーに織り込まれているなどベテラン作家ならではの深みもあります。

こんな人におすすめ
クライムストーリーでもユーモアがあり、予測不能でスリリングな展開に引っ張られる小説をお探しの方におすすめです。

【3位】死神の精度 (文春文庫)

ジャンル連作短編・推理・ファンタジー
受賞歴・メディアミックス第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞・2008年に映画化
発売年2008年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.0)
キャラ立ち度
(5.0)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 伊坂作品の一番人気とも言われるキャラ・死神の千葉が初登場する記念すべき作品
  • 人間の世界に派遣された死神が、一週間かけてその人の生き死にを決めるという設定のおもしろさ
  • 人を客観的・合理的にながめる千葉によって、人間のありのままの姿が描かれる

「死神の精度 (文春文庫)」の特徴

何よりもキャラ立ちの良さで知られる伊坂作品の中でも、死神の千葉は最も愛されるキャラだと言えるでしょう。死神の目からこの世や人間を見ることで、今まで全く見えなかった世界が開かれてゆきます。若い人にこそんな爽快感を味わってほしいクライム・ファンタジーです。

こんな人におすすめ
死神の精度は、死神の千葉のように世の中を突き放してひょうひょうと眺めるような人に憧れるという方におすすめです。

【2位】マリアビートル

ジャンルサスペンス
受賞歴・メディアミックス第7回大学読書人大賞
2018年に舞台化
2022年にハリウッド映画化(本作を原作とする「ブレット・トレイン」)
発売年2010年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.0)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 伊坂幸太郎・大人気の殺し屋シリーズ3部作の2作目・スリリングな長編小説
  • 大ヒットした前作「グラスホッパー」の続編で、鈴木や槿(ムクゲ)など登場人物もリンク
  • Kindle版は現在500円台で、文庫本より300円以上安いお買い得商品

「マリアビートル (角川文庫)」の特徴

家庭持ちの主人公を始め、それぞれにキャラ立ちした殺し屋たちが東北新幹線に一同集結するというこれまたキャッチ―な設定。殺し屋たちがさまざまに絡み合い、サスペンスたっぷりな筋で引っ張ってゆく力が読みどころです。

こんな人におすすめ
マリアビートルは、大勢の殺し屋が駆け引きを繰り広げる緊張感たっぷりのクライムストーリーが読みたいという方におすすめです。

【1位】ゴールデンスランバー

ジャンルクライム・サスペンス
受賞歴・メディアミックス2008年本屋大賞受賞
第21回山本周五郎賞受賞
「このミステリーがすごい・2009」1位
2010年に映画化
発売年2007年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 首相暗殺のぬれぎぬをかけられた青柳が、日本中を敵に回しながら真相を追う数日間のドタバタ劇
  • 500ページの長編ながら短文中心で読みやすく、最初から最後まで疾走感のあるサスペンスに
  • 伊坂作品らしい、笑いあり感動ありのキャラ総立ち群像ドラマ

「ゴールデンスランバー」の特徴

小説初心者は文庫本で500ページの分厚さにひるむかもしれませんが、読み始めれば読みやすさとストーリーの面白さが実感できるはず。青柳を首相暗殺犯に仕立てた陰謀の裏には一体、何があるのか。エンタメでありながら社会や政治についての理解も深まる作品です。

こんな人におすすめ
ゴールデンスランバーは、ハラハラドキドキするエンタメ作品で長編小説を初めて読破したいという若い人たちにおすすめです。

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【泣ける】伊坂幸太郎作品おすすめランキング6選

【6位】フィッシュストーリー

ジャンル4つの短編集・ドラマ
受賞歴・メディアミックス2009年に映画化
発売年2007年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(5.0)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • バンドマンの話など、若い初心者にも入り込みやすい題材、読みやすい文体の短編集
  • 「重力ピエロ」や「ラッシュライフ」などでお馴染み、伊坂作品の人気キャラ・泥棒の黒澤も2作品で大活躍
  • 人の正義感をテーマにした泣けるドラマ性の高さも大好評

「フィッシュストーリー」の特徴

表題作「フィッシュストーリー」と「ポテチ」の2作が映画化されたことでも分かるよう、特に若い人たちに受ける読みやすい青春物語です。1作が50~60ページ程度なので読みなれない人でも1日で読めるでしょう。映画以上に泣ける小説としても有名なので女性にも最適です。

こんな人におすすめ
フィッシュストーリーは、笑いあり涙ありの共感しやすい青春物で小説を読み始めてみようかという若い人たちにおすすめです。

【5位】AX アックス (角川文庫)

ジャンルサスペンス・連作短編
受賞歴・メディアミックス2018年本屋大賞ノミネート
発売年2020年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.0)
キャラ立ち度
(3.5)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 累計258万部、大人気の殺し屋シリーズ・3部作の3作目、2020年発行の最新作
  • 主人公で凄腕の暗殺者・兜(かぶと)は、家庭を大事にする務め人の一面もあって共感を呼ぶ
  • 家庭持ちの男の何気ない日常と暗殺者としての非日常が絶妙にブレンドされたストーリー

「AX アックス (角川文庫)」の特徴

普通の務め人だった親父が何と殺し屋だったという、ドラマや映画でもあるあるな設定なので中学生にも入り込みやすいでしょう。家族のために殺し屋業を止められない男の姿はとても象徴的で、年配の男性の共感を誘う部分もあり。
とにかくスリリングな展開なので、小説をあまり読まない人にも楽しめるでしょう。

こんな人におすすめ
AX アックスは、ハラハラドキドキのサスペンスで最後には感動も与えてくれる小説が読みたいという方におすすめです。

【4位】ラッシュライフ

ジャンルドラマ
受賞歴・メディアミックス2009年に映画化
発売年2005年
評価・レビュー
読みやすさ
(3.5)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(4.0)
ポイント
  • 伊坂幸太郎がデビューから6年目で注目されるようになった初めての大ヒット作品
  • 高貴な泥棒・金目当ての画商・異常な教祖など、キャラ立ちした人物が絡まり合う群像ドラマ
  • 案山子(カカシ)など、他作品の人気キャラもリンクさせる伊坂ワールドの起点となった作品

「ラッシュライフ(新潮文庫)」の特徴

登場人物が総キャラ立ち、時系列バラバラのパズル構造、他作品とのリンクなど伊坂幸太郎の作風を決定づけるような作品です。一方で闇社会にうごめく人物をリアルに描く小説ならではの魅力もたっぷりと味わえるでしょう。

こんな人におすすめ
ラッシュライフは、TVニュースでは分からない犯罪者の心理や動機をワクワクするストーリーと共に理解したいと思う方におすすめです。

【3位】砂漠

ジャンル青春ドラマ
受賞歴・メディアミックス特になし
発売年2017年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(3.5)
ストーリー性
(4.0)
ポイント
  • キャラ立ち人物のごった煮で知られる伊坂作品の中では珍しく普通の大学生・5人が中心的に描かれる
  • 二度目の出版に当たり、より若手読者向きにリライトされた青春ドラマ
  • 5人という限られた人物の中、さまざまな組み合わせによって輝きを放つヒューマンストーリー

「砂漠 (実業之日本社文庫)」の特徴

どこにでもいそうな仙台の大学に通う5人組の男女が、砂漠のような社会に出る前に青春を大いに楽しむ物語です。そうは言ってもそこは伊坂作品。超能力者がいたり通り魔とばったり出会ったりなど、ファンタジー要素も巧みに混ぜられています

こんな人におすすめ
砂漠は、大学や高校への進学を前に本気で進路について悩んでいるような学生さんにおすすめです。

【2位】フーガはユーガ

ジャンルドラマ・ファンタジー・クライム
受賞歴・メディアミックス2019年・本屋大賞ノミネート
発売年2018年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.5)
キャラ立ち度
(5.0)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 虐待を受けた双子の兄弟が超能力「アレ」を駆使して社会の闇に立ち向かう勧善懲悪ストーリー
  • 井坂作品らしい畳みかけるように事件が起こるクライムストーリーで読者を最後まで飽きさせない
  • 回想と現在進行の取材を軸に一見バラバラなピースが回収される完成度の高さと大どんでん返しあり

「フーガはユーガ」の特徴

2019年の本屋大賞にもノミネートされた兄弟愛を描く感動作で、ファンタジーとリアリズムが融合した不思議な作風でもあります。

虐待など性と暴力の過激な描写があるものの、多くの読者は井坂特有のライトな文体によって読みにくさはないと感じています。

こんな人におすすめ
兄弟愛の人間ドラマが中心に描かれた話で、どんでん返しと展開力があるミステリー小説をお探しの方におすすめです。

【1位】重力ピエロ

ジャンルミステリー・ドラマ
受賞歴・メディアミックス第1回本屋大賞ノミネート作品
「このミステリーがすごい・2004」3位
2009年に映画化
発売年2003年
評価・レビュー
読みやすさ
(3.5)
キャラ立ち度
(4.0)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 勤勉な兄と自由奔放な弟というギャップある2人の兄弟愛がストーリーの軸に
  • 2009年、岡田将生・吉高由里子などの出演で映画化もされた大ヒット作品
  • 「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」など弟の春の数々の名言が刺さる

「重力ピエロ(新潮文庫)」の特徴

多種多様にキャラ立ちした人物が、1つのストーリーの中できれいにまとまるまさに伊坂印の名作です。放火を軸にしたサスペンスも引っ張る力となり、初心者にも一気読みさせる力が充分にあります

こんな人におすすめ
重力ピエロは、いつまでも少年のような純真さを持っている人に心ひかれるという方におすすめです。

【新作】伊坂幸太郎作品1選

777 トリプルセブン

ジャンルミステリー・クライム
受賞歴・メディアミックス特になし
発売年2023年
評価・レビュー
読みやすさ
(4.5)
キャラ立ち度
(5.0)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 累計300万部の「殺し屋」シリーズ第4弾で井坂作品の愛されキャラ・ツキのない殺し屋の七尾が主人公
  • 「マリアビートル」では新幹線の中で殺し合いに巻き込まれた七尾が今度はホテルで同じ目に遭うなど展開がおもしろい
  • 暗殺術を使うマクラとモウフ・天才ハッカーのココ・驚異的な記憶力を持つ紙野などユニークなキャラが多い

「777 トリプルセブン」の特徴

ブラッド・ピットの主演映画「ブレット・トレイン」の原作「マリアビートル」の数年後の話となる伊坂幸太郎の最新作です。

ホテルという密室の舞台で数々の殺し屋がバトルロワイヤルになる展開はおもしろく、大どんでん返しも待っています。

こんな人におすすめ
アクション映画の原作になるようなスリリングな展開があり、あっと驚くラストも用意された小説をお探しの方におすすめです。

伊坂幸太郎の作品に影響を受けた作家のおすすめ作品3選

dele:本多孝好

ジャンルクライム・サスペンス
受賞歴・メディアミックス実写ドラマ化
発売年2018年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(4.5)
ストーリー性
(5.0)
ポイント
  • 2018年に山田孝之・菅田将暉のコンビでテレビドラマ化もされた人気作で初心者にも読みやすい5つの連作短編
  • 依頼人の死後にデジタルデバイスの記録消去を請け負う会社「dele.LIFE」を軸にクライムストーリーが展開する
  • 冷静で合理的な坂上と人間味たっぷりの真柴のコンビは相性抜群で人間ドラマとしても味わい深い

「dele」の特徴

「at Home」など数々の原作が映画化された人気作家・本多孝好による「デジタル遺品」をテーマにした社会派ミステリーです。

普通の人が不運に見舞われる「犯罪巻き込まれ型」の展開や、闇社会のリアリズムがある点などが井坂作品と似通っています。

こんな人におすすめ
ドラマを観たあとでより楽しめる人気シリーズで、ユニークな切り口で社会の闇を暴くクライム小説をお探しの方におすすめです。

凍りのくじら:辻村深月

ジャンルドラマ
受賞歴・メディアミックス第27回吉川英治文学新人賞候補作
発売年2005年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(4.5)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 「SF」を「少し不思議」の頭文字と捉えた藤子・F・不二雄に重ね「少し~」なキャラが多様に描かれている
  • すべての章がドラえもんの道具と同じタイトルになっているなど作品全般にドラえもんへのオマージュあり
  • 氷の下で死んだくじらの親子に象徴される事件にヒロインが巻き込まれる展開で最後には驚くべきオチがある

「凍りのくじら」の特徴

近年「傲慢と善良」の大ヒットで知られる辻村深月による、著者のドラえもん愛を奥深い人間ドラマに昇華させた作品です。

本作のヒロイン・芦沢理帆子は写真家・芦沢光として他の辻村作品にも数多くでており、井坂作品に共通した魅力があります。

こんな人におすすめ
読みやすい文体で味わい深いドラマの中に少し不思議なトリックのある小説をお探しの方やドラえもん好きな方にもおすすめです。

青空の卵 ひきこもり探偵シリーズ

ジャンル推理ミステリー
受賞歴・メディアミックス漫画化・テレビドラマ化
発売年2002年
評価・レビュー
読みやすさ
(5.0)
キャラ立ち度
(4.5)
ストーリー性
(4.5)
ポイント
  • 5つの連作短編であることに加え短文構成の文体はとても読みやすく初心者にも最適
  • コンピュータープログラマーで引きこもりがちの鳥井が探偵役を務めるユニークな設定
  • 日常の謎を扱ったライトな推理ミステリーでこのジャンルの入門書としておすすめできる

「青空の卵 ひきこもり探偵シリーズ」の特徴

TVドラマにもなった人気シリーズ第一作で、主人公が引きこもり探偵・鳥井と事件を解決しながら立ち直りも支援する友情ものです。

主人公が作者と同じ名前・坂木司である点に作者の思い入れが伝わり、連作短編として光る巧さは伊坂幸太郎の作風にも通じています。

こんな人におすすめ
推理ミステリーを読み始めたいと思っている方や、男同士の友情ドラマも味わえる推理小説をお探しの方におすすめです。
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伊坂幸太郎作品の重要ポイントまとめ

伊坂幸太郎作品の重要なポイントは以下の3つです。

  • 伊坂作品には、死神や超能力者など、ほとんどファンタジーと言えるようなぶっ飛びキャラが数多く出てくる
  • 現在、40作品を超える伊坂幸太郎の小説は、複数の人気キャラを軸にし「伊坂ワールド」といえる1つの世界を作っている
  • 伊坂作品はクライム・ミステリー・サスペンスで知られながら、その根っこには味わい深い人間ドラマがある

この記事を書いたライターからのコメント

私はここで東野圭吾作品の紹介もさせていただきましたが、その際のコメントで東野以上に多作な作家は思いつかないと書きました。

しかし伊坂幸太郎のことをすっかり忘れていました。何しろ彼は24年間に80作ほどの著作を世に出しています。

作家生活40年を迎える東野が100作ということを考えると驚異的なペースであり、24年に渡り年3冊以上書いている計算になります。

しかも井坂も東野同様、複数のシリーズを掛け持ちしながら新作にも挑んでいて、そのポテンシャルの大きさは無限大です。

この記事を任せていただき1作家として多くのヒントをもらえました。1人でも多くの方が伊坂作品の魅力に触れてほしいと願っています。

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