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家庭でもオフィスでも、以前とは比較にならないほど大きなデータを扱うようになった現代、ますます注目を集めているのがNAS。端的に言うと、ネットワーク機能を持つハードディスクのことです。
個人・法人利用問わず、一台あればデータや写真、楽曲などの管理に絶大な威力を発揮します。今回はNASとはどういうものかを解説しつつ、おすすめメーカーやモデルを紹介していきます。また、RAIDと呼ばれる記録方法の違いや、ベイ数といった用語についても解説します。
目次
NASとは
NASとは、Network Attached Storageの頭文字を取ったもので、ネットワークに接続して使用するストレージ(多くの場合はハードディスク)のことをいいます。ワイヤレスで使用できるハードディスク、という言い方もできますね。タブレットやスマートフォン、パソコンのデータを保存し、複数のデバイスからアクセスする機能を備えています。家庭で複数のデバイスをまたがってデータのやりとりを行なったり、オフィス内でデータの管理を行う方にぴったりの周辺機器です。
NASと一般的なHDDとの違い
NASは通常のハードディスク(HDD)と違い、ネットワークに接続して使うことと、データの保存についての安全性を高めていることが特徴です。特にデータの保存に関しては、複数台のHDDを管理しつつ、より安全にデータを保管する方法として「RAID」と呼ばれる機能が搭載されていることが多いです。また、HDDが最初から内蔵されているタイプとは別に、販売されている状態ではHDDが内蔵されておらず、ユーザー自身がHDDを買ってNASに取り付けて使う、というタイプも海外製品を中心にポピュラーな存在となっています。
NASのRAID機能とは
RAID機能とは、複数のハードディスクをひとつのハードディスクに見立てて、安全にデータのバックアップを取る機能のこと。RAIDは0から10までのいくつかのレベルにわかれていて、数字が大きくなるにつれて、コントロールできるハードディスクの数が増え、かつデータの安全性が高まります。RAID5や6の製品となるとさずがに高額になりますが、最近は安価な製品でもRAID1に対応している場合が多いので、データの安全性を優先する方はよくチェックしておきましょう。
NASの4ベイとは?ベイ数は何を表すか
NASの仕様を見ていると「ベイ数」というのが出てきますが、これはハードディスクが取り付けられるスロットの数を表します。家庭用や小規模オフィス用であれば2ベイ、本格的な法人用であれば4スロット以上が一般的です。ベイ数が多ければ多いほど記憶容量は増えますし、またRAID機能などの活用によってデータの保護の安全性は高まります。ただし、ベイ数が多い機種ほど価格も高くなりますので、用途によって選びましょう。海外製品を中心に、ハードディスクが別売りの機種も少なくありませんので、全体の予算ともよく相談しましょう。
NASのメリット
NASのメリットは、以下の3つです。
- 大切なデータを安全にバックアップ
- デバイス間のファイル共有、管理が簡単
- 限られたデータ保存スペースを無駄なく使える
大切なデータを安全にバックアップ
多くのNASは、RAID機能によって複数のハードディスクにデータを書き込み、保存しています。そのため、何かあった際に一方のハードディスクが破損してデータが取り出せなくなっても、もう一方のハードディスクからデータを復元することが可能です。また、スマートフォンなどのデータをクラウド上に保存するよりも、セキュリティの面でより安心できます。
デバイス間のファイル共有、管理が簡単
NASはネットワークに繋いでデータのやりとりを行うことを念頭に設計されているため、複数のデバイス間でのデータのやりとりがとにかく簡単です。家庭に導入すれば、家族の利用しているパソコン、タブレット、スマートフォン間のデータのやりとりはとても簡単になります。また、データにアクセスする権限を細かく設定することができるため、オフィスなどでのデータ共有、管理は大の得意分野です。
限られたデータ保存スペースを無駄なく使える
例えば、オフィスで同じスペックのパソコンを使っていたとしましょう。すると、仕事内容によってハードディスクの容量が足りなくなってしまう人もいれば、ほんの少ししか記憶容量を使わない、という人もいるかもしれません。そんな時、NASを導入すれば、データの保存スペースをみんなで無駄なく有効活用できます。家庭に導入しても、そのメリットは十分に生かすことができるでしょう。
NASのデメリット
NASのデメリットは、以下の2つです。
- 通常の外付けHDDよりも高価
- 取り付けや初期設定が面倒
通常の外付けHDDよりも高価
NASはその高度な機能のせいで、同容量のハードディスクに比べてどうしても価格が高くなってしまいます。また、ベイ数が多い本格派のモデルは、ハードディスクが内蔵されていないことが多く、ユーザー自身が別途購入しなくてはいけません。大変便利な機器ではありますが、導入には多少の初期投資が必要、と考えておきましょう。とはいえ、最近は安価な家庭用機種も増加傾向にあります。
取り付けや初期設定が面倒
安価な家庭用機種では、ハードディスクも初めから内蔵されており、文字通り箱から出してすぐに使えるモデルもあります。しかし、少し本格的なモデルを導入しようとすると、どうしても避けられないのがハードディスクの取り付けと初期設定です。ハードディスク別売りにモデルは、ユーザー自身で取り付け・組み込みが必要ですし、その後の初期設定も自分で行わなくてはなりません。ただし、最近はマニュアル等も完備されていて、作業もそれほど難しくはないので、必要以上に身構えることはありません。
NASのおすすめメーカー
NASのおすすめメーカーは、以下の3つです。
- Synology
- バッファロー
- QNAP
Synology
Synologyは、NASにおいて世界的に大きなシェアを持つNAS専業メーカーです。そのシェアは25パーセントとも言われています。この数字が示す通り、安全性、信頼性が第一のNASにおいて、絶大な信頼を獲得。最大の特徴は、「DSM」と呼ばれる専用のOSを備え、そこで細かな設定が可能という点です。家庭用から大規模な業務用まで、幅広いラインナップを揃えています。
バッファロー
バッファローは、名古屋に本社を置く日本の老舗周辺機器メーカーです。家庭用、小規模オフィス向けのハードディスク内蔵モデルから、大規模な業務用機まで幅広く販売しています。最大の特徴は、日本のメーカーならではの細かいアフターサービスと、箱から出してすぐに使えるユーザーフレンドリーな設計です。初めてNASを導入するという方へ、最もおすすめできるメーカーと言えるでしょう。
QNAP
QNAPは、先述したSynologyと並んで、NAS黎明期から活躍し続けるメーカーです。家庭用と銘打っていても、他社の業務用機並みの機能とスピードを備えているのが大きな特徴です。デザインもシンプルで、ハードディスクの取り付けもわかりやすく、ユーザー目線に立った製品開発がなされています。ハードディスクはユーザーが用意しなければなりませんが、それを差し引いても買う価値のあるおすすめメーカーです。
NASの選び方
NASの選び方を以下の3つのポイントから解説します。
- HDDが内蔵されているか
- RAID機能をチェック
- 取り扱い可能なデータや配信範囲をチェック
HDDが内蔵されているか
NASは、ハードディスクが内蔵されている完成品タイプと、ユーザー自身がハードディスクを取り付けるキットタイプに大きくわけられます。手軽さを優先するのであれば完成品タイプ、将来の拡張性などを考慮するとキットタイプに軍配が上がります。キットタイプは自身で設定等をしなければいけないものの、発売されたばかりの大容量ハードディスクを利用可能など、柔軟な運用が可能です。
RAID機能をチェック
RAID 0は、2台のHDDに分散してデータを記録する「ストライピング」と呼ばれる方法で、データ読み書きの高速化が図れます。RAID 1は「ミラーリング」と呼ばれる方法で、ふたつのHDDに同時に同じデータを書き込むので、どちらかのHDDがクラッシュしてもデータが復旧できる、安全性の高い形式です。RAID 5は3台以上、RAID 6は4台以上のHDDが必要ですが、どちらもパリティ(誤り訂正符号)も同時に記録することで、データ障害に対する安全性はより高いものとなっています。
取り扱い可能なデータや配信範囲をチェック
NASの多くのモデルは、パソコンをはじめとして、タブレットやテレビ、スマートフォンなどへ音楽や写真データを配信する機能を備えています。その際に気を付けたいのが、マルチメディア対応形式です。DLNA、DTCP-IP、DTCP+といった形式があり、例えばDTCP+であれば著作権保護のかかった音楽や動画コンテンツを家庭内だけでなく、屋外でもインターネット経由で利用可能です。
NASのおすすめ10選
Synology DS218j
Synology DS218jの仕様・製品情報
重量 | 0.88kg |
ベイ数 | 2 |
Synology DS218jのおすすめポイント3つ
- シノロジーの家庭向け普及機
- 独自OSによるきめ細かいセッティングが可能
- RAID 1対応でバックアップも万全
Synology DS218jのレビューと評価
シナロジーが放つ、信頼のベストセラーモデル
Synology DS218jは、NAS専業メーカーが送る家庭向け2ベイのキットタイプNASです。ハードディスクは2台購入して取り付ける必要がありますが、セッティングの柔軟さや拡張性、専用OSの使いやすさに定評がある、ベストセラーモデルのひとつです。
Synology DS218jはこんな人におすすめ!
BUFFALO LS210D0201G
BUFFALO LS210D0201Gの仕様・製品情報
重量 | 1.1kg |
容量 | 2TB |
BUFFALO LS210D0201Gのおすすめポイント3つ
- すぐに使える完成品タイプ
- 2TBの容量のHDDが搭載済み
- 外出先からアクセス可能
BUFFALO LS210D0201Gのレビューと評価
国産メーカーの雄が送るエントリーモデル
BUFFALO LS210D0201Gは、あらかじめハードディスクを搭載した、完成品タイプのNASです。余裕のある2TBの容量で、家庭用として使うには最適のモデルです。細かいセットアップも不要なので、初めてのNASにはうってつけの製品と言えるでしょう。
BUFFALO LS210D0201Gはこんな人におすすめ!
QNAP TS-231P
QNAP TS-231Pの仕様・製品情報
重量 | 1.28kg |
ベイ数 | 2 |
QNAP TS-231Pのおすすめポイント3つ
- リーズナブルな価格と高性能を両立
- 専用アプリで設定や使いこなしも楽々
- アクセス管理も簡単に可能
QNAP TS-231Pのレビューと評価
コ
QNAP TS-231Pは、大きなシェアを誇るQNAPの家庭用・小規模オフィス向けモデルです。高速でのデータ書き込み&読み出しや、専用アプリによる快適な操作性など、ユーザーにとって嬉しい機能が満載。リーズナブルな価格と高性能を両立したベストセラーモデルです。
QNAP TS-231Pはこんな人におすすめ!
NETGEAR ReadyNAS 212 RN21200-100AJS
NETGEAR ReadyNAS 212 RN21200-100AJSの仕様・製品情報
重量 | 2.03kg |
ベイ数 | 2 |
NETGEAR ReadyNAS 212 RN21200-100AJSのおすすめポイント3つ
- 2ベイで最大20TBまで搭載可能
- RAID 1でデータを安全にバックアップ
- 金属製シャーシと大型ファンで耐久性も抜群
NETGEAR ReadyNAS 212 RN21200-100AJSのレビューと評価
拡張性に優れた、コスパの高いNAS
NETGEAR ReadyNAS 212 RN21200-100AJSは、アメリカのネットワーク機器メーカー・ネットギアの家庭用モデルです。大型のファンや金属製シャーシで高い耐久性を確保しつつ、一方では外出先からのアクセスが可能であったり、できるだけ簡単にセットアップできるような基本設定システムになっていたりと、バランスの取れた製品となっています。
NETGEAR ReadyNAS 212 RN21200-100AJSはこんな人におすすめ!
BUFFALO LS220D0402G
BUFFALO LS220D0402Gの仕様・製品情報
重量 | 2.5kg |
容量 | 4TB |
BUFFALO LS220D0402Gのおすすめポイント3つ
- セットアップが簡単なHDD内臓タイプ
- 安心のアフターサービス
- ミラーリングも可能で、バックアップも万全
BUFFALO LS220D0402Gのレビューと評価
コ
BUFFALO LS220D0402Gは、バッファローの完成品タイプNASです。2TBのHDDを2基搭載し、RAID 0と1の両方の形式に対応。容量優先で使うことも、データの安全性重視で使うこともできます。セットアップも簡単で、箱から出してすぐに使えるのも利点ですね!
BUFFALO LS220D0402Gはこんな人におすすめ!
Synology DS918+
Synology DS918+の仕様・製品情報
重量 | 2.28kg |
ベイ数 | 4 |
Synology DS918+のおすすめポイント3つ
- 4つのベイを持つ中規模オフィス向けモデル
- もちろん自宅でヘビーに使う方にも最適
- 大人数での使用にもぴったりな専用アプリ群
Synology DS918+のレビューと評価
余裕の4ベイでビジネス向けのファイル管理に最適なモデル
Synology DS918+は、4ベイのハードディスク格納部を備えた、家庭用ヘビーユーザーもしくは中規模オフィス向けのNASです。大人数での使用を念頭に置いた独自OSや専用アプリの使いやすさは、さすが専業メーカーならではと言えるでしょう。
Synology DS918+はこんな人におすすめ!
I-O DATA HVL-S2
I-O DATA HVL-S2の仕様・製品情報
重量 | 1kg |
容量 | 2TB |
I-O DATA HVL-S2のおすすめポイント3つ
- リーズナブルなHDD組み込み済みの完成品タイプ
- テレビの録画ダビングに特化したモデル
- コンパクトなサイズで置き場所を選ばない
I-O DATA HVL-S2のレビューと評価
コ
I-O DATA HVL-S2は、テレビ番組の録画ダビングに特化した低価格モデルです。キーワード指定による自動ダビング機能などにより、将来のテレビの買い替えや、もしもの時の故障のために、データを安全に保存しておけます。コンパクトなサイズで設置場所も選びません。
I-O DATA HVL-S2はこんな人におすすめ!
QNAP TS-431P
QNAP TS-431Pの仕様・製品情報
重量 | 3kg |
ベイ数 | 4 |
QNAP TS-431Pのおすすめポイント3つ
- 独自アプリ群による快適な使用感
- 高速のデータ書き込み&読み出し
- 4ベイでデータの安全性に関しても安心
QNAP TS-431Pのレビューと評価
世界シェアを伸ばし続けるQNAPの送る4ベイモデル
QNAP TS-431Pは、4ベイで余裕の記憶容量を確保する、中規模オフィスもしくは個人ヘビーユーザー向けのモデルです。洗練されたデザインと、使いやすい専用のアプリ群は、自分で4つのハードディスクを準備しなければならない手間を考慮してもなお、使う価値があると言えるでしょう。データの通信速度も同価格帯の中では高速で、費用対効果の高い定番製品のひとつです。
QNAP TS-431Pはこんな人におすすめ!
I-O DATA HDL2-AA6/E
I-O DATA HDL2-AA6/Eの仕様・製品情報
重量 | 2.3kg |
容量 | 6TB |
I-O DATA HDL2-AA6/Eのおすすめポイント3つ
- 3TBのHDDをはじめから内蔵
- ユーザー自身でHDDの交換が可能
- ミラーリング(RAID 1)で安心・安全なデータ保持
I-O DATA HDL2-AA6/Eのレビューと評価
今後の拡張性も十分に考慮された、完成品タイプのNAS
I-O DATA HDL2-AA6/Eは、3TBのハードディスクを最初から2台内蔵した完成品モデルです。容量が足りなくなってしまっても、ユーザー自身の手で簡単にハードディスクの交換が可能。また、必要だと思う機能をユーザーが選んで拡張できるシステムも備えています。
I-O DATA HDL2-AA6/Eはこんな人におすすめ!
Synology DS1618+
Synology DS1618+の仕様・製品情報
重量 | 5.05kg |
ベイ数 | 6 |
Synology DS1618+のおすすめポイント3つ
- 6つものベイを備えたビジネス向けモデル
- RAID 5や6といった安全性の高い記録形式に柔軟に対応
- クアッドコアCPU搭載で、ファイル管理に最適のモデル
Synology DS1618+のレビューと評価
信頼性の高さに定評のある、6ベイを備えたオフィス向けモデル
Synology DS1618+は、同時に6個ものハードディスクを搭載できる、ビジネス向け・オフィス向けのモデルです。会社でのメールサーバーの管理などに最適。運用の柔軟性、拡張性、さらに信頼性の高さも兼ね備えた、NAS専業メーカーの技術の集大成といった製品です。
Synology DS1618+はこんな人におすすめ!
まとめ
ここまで、代表的なメーカーの定番製品を中心に、10機種おすすめモデルを紹介してきました。どのモデルも、データの保護や安全性を第一に考えた設計になっていて、その上でデータの読み書きなどの使い勝手などを追求している信頼性の高い製品ばかりです。ぜひ、長く付き合えるモデルをじっくり探してみてくださいね!